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廃てんぷら油、海外勢と「奪い合い」 代替航空燃料需要で

Refueling a passenger aircraft with jet fuel derived from food waste, Haneda Airport on the morning of November 6, 2020 (Kyodo).

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使用済み天ぷら油などの廃食油や植物を原料とする環境負荷の少ない「持続可能な代替航空燃料(SAF、サフ)」の商用化に向け、三菱地所とプラント大手の日揮ホールディングス(HD)などは11月24日、廃食油の回収で連携することで基本合意したと発表した。原料の確保は最大の壁とされ、日揮HDなどが開発を手掛け、商用化レースで先頭を走る廃食油由来のSAFですら、原料調達先の開拓では「まだ努力が必要」(同社担当者)という。日本の廃食油は質の良さから海外のSAF事業者から引き合いが強く、「奪い合い」の激化で価格上昇にもつながっている。

「海外への輸出が拡大したことで、廃食油を必要としている方々に十分な量が供給されていない」。廃食油の回収業者でつくる全国油脂事業協同組合連合会(全油連)の塩見正人事務局長は現状を説明する。

全油連によると、令和3年度に国内で回収・処理された廃食油の量は38万トン。うち家畜の餌やインクなどの原料向けに25万トン。残る13万トンは燃料の原料向けとなるが、うち12万トンが海外に輸出された。全体の3分の1に近い量に達し、前年度の輸出量(9万トン)から3万トンも増えた。

新型コロナウイルス禍による飲食店からの供給量減少なども相まって、1キロ当たりの輸出価格は3(2021)年1月に78・7円だったのが、今年10月には約2・5倍の199・1円にまで高騰。国内の取引価格も上昇しているが、それを上回る価格が付けられている状況だ。

また、国内で廃食油は廃棄物処理法上の「廃棄物」として許可業者が排出元から無償で回収しているが、「価格高騰やSAFへの提供を目当てとした無許可業者が、法律をかいくぐるように(廃棄物としてではなく)『有価』で買い取る状況が発生している」(塩見氏)と指摘。価格上昇に拍車をかけているという。

ユーグレナのSAFを給油したヘリコプター=6月1日、愛知県豊山町

精製や運搬・処理などの技術に優れ、品質が高い日本の廃食油を巡っては、海外勢を中心に「奪い合い」が生じている現状下で「有価になること自体は致し方ない」(運輸業界関係者)という。日揮HDが関わる回収事業でも一定の代金が発生するが、同社の担当者は「(価格よりも)廃食油を地産地消することの重要性を訴え、理解を求めていきたい」と訴える。

ただ、運輸総合研究所の黒川隆一主任研究員は、廃食油などは調達可能な量に限界があり、SAFに転換できる量も少ないと指摘。当面はアジアからの調達も検討しつつ、「効率が高い水素や二酸化炭素を原料とするSAFの商用化を目指し、同時並行で開発を進めていくべきだ」と話す。

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