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田植えシーズンが佳境を迎える中、埼玉県の加須、行田、羽生、鴻巣の各市のの農業生産者らが加入する「北埼玉スマート農業研究会」は人工知能(AI)を活用したロボット田植え機を使った無人による田植えの実演会を開催した。ロボット田植え機を導入した生産者によると、疲労度が格段に減少するという。
実演会に使われたのは、クボタ製の「アグリロボNW8SA(無人仕様)」。前後左右に計8カ所の障害物センサーがついており、GPSによる位置情報や地上の補正電波を連動させて位置を補正する機能を持っている。水田内の凹凸などで田植え機のタイヤのスリップなどによる位置のずれも修正し、5~10センチ単位の誤差で自動田植えが可能という。
同じ圃場(ほじょう)であれば、最初の年に圃場の外周を走らせることにより、最も効率的な田植えの方法を示し、翌年以降もリモコンによる操作で田植えが可能だ。
加須市で「おおや農園」を経営する大谷寿男さん(55)は、令和3年に県のスマート農業普及推進事業のモデル事業者を受け、アグリロボを導入。購入費約600万円の半額補助を受けた。県産の「彩のきずな」のほか「コシヒカリ」「あきたこまち」などを主力に植えている。
従来は田植えの時季に大きな労働力が必要になるのが常だったが「機械に任せられるようになったのは楽」と打ち明ける。45ヘクタール中35ヘクタールをアグリロボを使って田植えを行い、おおや農園の実証実験では1ヘクタールあたりの労働時間が57%減の3時間13分程度になった。
旋回も自動で行われ、有人で操作するのに比べ、植え始めの位置がきっちりそろうなど、非常に効率的に田植えが行われていることが分かる。また、アグリロボに乗せてもらうと、水面の凹凸の激しさを体感できるが、これをもクリアする正確なデータに基づく田植えが行われていることが実感できた。
一方、収量データと見比べながら施肥量も多くしたり少なくしたりできるなどの活用法もあるという。
農業の大規模化とともに生産者の高齢化や労働人口減少が進む中で、こうした課題を解決する大きな一助にもなりそうだ。
筆者:兼松康(産経新聞)
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