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日本で初めてマヨネーズを発売したキユーピーが、廃棄マヨネーズをバイオガス発電の燃料に再利用する方法を見いだし、力を入れている。きっかけはグループから出たジャガイモの皮を豚の飼料に活用していた埼玉県深谷市の養豚業者から寄せられた相談だった。その業者は、豚の糞(ふん)尿とメタン生成菌を使い発電を行っていたが、豚の糞尿は水分が多くてカロリーが少なく、発酵してもガスの発生量が少ないため軌道に乗せるのに苦労していた。
一方、キユーピーは多品種の業務用で発生する廃棄マヨネーズに頭を抱えていた。製品の切り替え時に配管などに残ったマヨネーズを除去する必要があり、排出分が廃棄物となっていたのだ。配管を短くするなど廃棄量を減らす取り組みを続け令和4年に平成27年の3分の1まで減らすことができた。それでも年間製造量に対して約0・47%のロスが発生し、処分費を払って焼却していた。
業者の話を聞くうちにカロリーが高いマヨネーズなら役立つのではないかと思い、深谷から近い五霞工場(茨城県五霞町)で検証を繰り返すことになった。マヨネーズの栄養分を見える化し、菌を活発にするには糞尿に対してどのぐらい混ぜればよいかという「黄金比」を見つけ出した。
現在は五霞工場を含む5工場で廃棄マヨネーズを発電用に提供。令和4年度は約670メガワット時を発電した。東京・渋谷の本社オフィスの1年間の消費量に相当するという。取り組みの中心となった松原由紀さんは「製造したマヨネーズの全てを価値あるものにすることができた」と話す。二酸化炭素(CO2)の発生量も年980トン減らすことができたが、工場から発電施設までの輸送時にCO2が発生している。これを削減するため、自社工場で発電する計画も進める。
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