Japan 2 Earth

生物を模倣し製品づくり バイオミメティクスの技術革新で地球温暖化を解決へ

The undersides of a gecko’s toes: Abundant cilia generate a subtle force upon contact with microscopic irregularities on a wall, enabling geckos to effortlessly climb vertical surfaces. (Photo courtesy of Nitto Denko)

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生物の持つ機能や仕組みを分析し、ものづくりに生かすことを「バイオミメティクス(生物模倣)」という。生物模倣は、あらゆる時代で、新たなイノベーション(技術革新)をいくつも生み出してきた。世界が直面する気候変動問題では、物質の効率的な利用やリサイクルを進めているが、バイオミメティクスが環境への負荷を抑える「循環型社会」実現の切り札になると期待する声もある。現在地を探る。

生物模倣で「理想の形」実現

「バイオミメティクスを分かりやすく言えば、地球という閉鎖空間ですべてを循環させるという中で、何億年やってきたシステムのいいとこ取りをしようということです」

大阪大学大学院工学研究科の石原一彦特任教授は、こう説明する。

石原氏は、30年来研究に携わる素材「MPCポリマー」を、ヒトの細胞膜の構造を模倣するかたちで開発。MPCポリマーは親水性、保水性に優れ、タンパク質などの付着を防ぐ性質もある。そして今夏、日本アルコン社が、このMPCポリマーでコンタクトレンズの表面を覆い、ヒトの角膜を模倣した新たなコンタクトレンズを発売した。

「分子としてMPCポリマー、構造としてはヒトの角膜と、二重のバイオミメティクスを施している。長年、バイオマテリアルの研究をし、コンタクトレンズの開発に携わってきたが、これは理想の形に限りなく近いと思う」

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筆者:大谷卓(産経新聞)

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