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国内で複数の人から採取された血液に「ナノプラスチック」と呼ばれる直径千分の1ミリ以下の極めて小さなプラスチック粒子が含まれていることが、東京農工大の高田秀重教授らのグループの分析で明らかになった。このうち1人を詳しく調べると血液や腎臓、肝臓などから、プラスチックに添加する紫外線吸収剤やポリ塩化ビフェニール(PCB)という有害化学物質も見つかった。
人の血液中のナノプラスチックはオランダで検出例があるが、国内では初めて。含まれる有害化学物質を同時に検出した報告は世界でこれまでなく、人体への蓄積の実態が示された。ナノプラスチックは広く環境中に存在し、粒径が大きなものと比べて体内に取り込まれやすく、生物への影響がより強いとされる。分析技術の向上で、近年検出が可能になった。
高田教授は「プラスチックの微粒子が有害化学物質を体内に運び込んでいる」と指摘。検出量はわずかで直ちに影響が出るレベルではないとしつつ「これらの化学物質は環境ホルモンだ。摂取量が増えたり長期間蓄積したりすれば、生殖作用などに影響を与えることが懸念される」とした。
研究グループは、2023年に検査用に採取して残った血液や組織11人分を分析した。筑波大の「つくばヒト組織バイオバンクセンター」に保存されていた検体を、倫理ガイドラインに沿って提供を受けた。
このうち4人の血中から、発泡スチロール原料などに使われるポリスチレンの超微粒子を検出した。量は血液1グラム当たり40~550ナノグラム(ナノは10億分の1)だった。
同時に検出された紫外線吸収剤は、プラスチックの劣化を防ぐための添加剤。PCBは着色に使う顔料に含まれる不純物の可能性が高い。
ナノプラスチック
プラスチックごみなどが壊れてできる直径5ミリ以下の粒子「マイクロプラスチック」のうち、一般的に直径が1マイクロメートル(千分の1ミリ)以下の粒子のこと。近年、分析技術が向上し、河川水や海水、生物の体内などから、さまざまな種類のナノプラスチックが検出されるようになった。直径が大きい粒子に比べ、呼吸器や消化器を通じて血液中にまで入りやすく、粒子としての影響やプラスチック中に含まれる有害化学物質の影響がより大きくなることが懸念されている。
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