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【佐渡生き物語】ヒナ誕生!生命育むトキ

A crested ibis flying with a small branch against a radiant clear blue sky. (©Fumie Oyama)

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米どころ、新潟の中でもおいしい米に定評がある佐渡も田植えの季節を迎えた。田んぼに水が張られ、冬と違い小動物も豊富になる。4月30日には、今季初めてのトキのヒナが2羽確認されたという発表があった。飼育下でも次々とヒナが誕生しているという。 

野生下でのヒナ誕生

田に水が張られ、私も毎日、朝から田植え機を操縦して、苗を水田に植えている。冬でなまっていた身体も、苗箱の上げ下げで力仕事となり、活が入る。そんな忙しい合間、今年も無事、野生下でのヒナが誕生したことを4月30日、環境省佐渡自然保護官事務所が発表した。ヒナは、2014年生まれの10歳のオスとメスのペアから誕生した。このペアは2017年から毎年、ペアになっているが、ヒナが確認されたのは4年ぶりという。

クチバシを泥で汚してドジョウをくわえるトキ(大山文兄撮影)

次々とヒナが誕生

佐渡自然保護管事務所によると、このペア以外でも、別のペアからヒナが確認されたという。佐渡島内の佐渡トキ保護センターで3羽、野生復帰ステーションでも2羽のヒナが誕生、すくすくと育っているという。生命をつなぐふ化の知らせはうれしいものだ。自然界でのふ化は13年続いたことになり、順調といっていいだろう。

ところで、もふもふのヒナの写真を撮影してお見せしたいところだが、撮影のストレスを与えたくないためヒナが巣立ちまでは控えている。

この時期、トキの食欲は旺盛だ(大山文兄撮影)

オスとメスが交代

トキはオスとメスが交代で生まれた卵を温めて順番にエサをとる。エサが豊富になるこの時期は、ヒナがかえるために大事な時期だ。大切に温められた卵は約28日でカラをヒナが破ってふ化する。

静かに子育てしているペアがいる一方で、繁殖できなかったり、ペアになれなかったトキがグループになって田んぼに戻り始めた。仲良くエサをついばんでいる様子に、来年こそはがんばれよ、と声をかけたくなる。

水が張られた田んぼでエサを求めて物色するトキ(大山文兄撮影)

トキ放鳥の日程が決定

6月4日に、第30回となる放鳥が行われることが発表された。佐渡市北部の小野見地区で箱から放つハードリリース式で行う。3月から野生復帰にむけた順化訓練を行ってきた17羽のうち10羽程度を放鳥するという。この残り7羽は6月10日、ソフトリリースとして、順化ケージの入り口をあけて、自然に飛び立つのを待つ。また、その結果は報告したい。

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大山文兄(おおやま・ふみえ)産経新聞社写真報道局で新聞協会賞を2回受賞。新聞社時代に11年間にわたり、トキの野生復帰を取材。2020年に退社して佐渡島に移住、農業に従事しながら、トキをはじめとする動物の写真を撮り続けている。映像記者として佐渡の魅力を発信中。インスタグラムでフォローしてください

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