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二輪車や船外機を製造・販売するヤマハ発動機は脱炭素をコンセプトに米国市場で新たな挑戦に取り組んでいる。ヤマハ発は「ゴルフカー」の国内トップメーカーでもあり、米国市場でシェアを伸ばすため、同国子会社のヤマハゴルフカーカンパニーが二酸化炭素(CO2)を排出しない水素エンジンを搭載したゴルフカーの開発を進める。今年1月には米フロリダ州で開催されたゴルフ業界最大級のイベント「PGAショー」でモデルカーを初公開した。
開発に乗り出した経緯について、子会社でゴルフカーの企画を担当するヤマハモーターパワープロダクツ事業企画部の北野尚徳氏は「米バイデン政権が水素を使ったカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)推進策を掲げており、販売を伸ばせるチャンスと判断し、モデルカーを出した」と説明する。
モデルカーは米国を中心に販売する4人乗りのゴルフカーをベースに開発。水素の燃焼エネルギーを動力源にしている。気体用高圧水素タンク2本を運転席下と後部座席背面に搭載。ヤマハ発は平成27年からトヨタ自動車と自動車用水素エンジンを共同で開発する。水素を燃料とする発電機や船外機に関しては自社開発しており、そのノウハウをゴルフカーに取り入れた。
現地のモデルカーへの反響は大きく、手応えを感じたという。一方で実用化の課題も抱える。米国では水素供給拠点が不足しており、普及の壁となっている。「水素ステーションなどを扱うパートナー企業とも連携し、米政府や州に働きかけ、普及につなげていきたい」(北野氏)。
米国では広い敷地の住宅エリアやビーチリゾートなどでもゴルフカーが使われる。今後も市場拡大が見込まれている。
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