Japan 2 Earth

【佐渡生き物語】トキの暑さを乗り切る方法とは?

Crested ibis vie for good spots in the shade of trees to avoid the heat. (©Fumie Oyama)

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かつてはクーラーいらずだった新潟県佐渡島も、地球温暖化の影響からかクーラーなしでは過ごせない日々が続いている。国の特別天然記念物、トキも日中の暑さには閉口しており、口を開けて浅い息を繰り返すパンティングが観察された。

口ハーハーで体温を下げる

真夏の佐渡は、日中は30度を超える。田んぼの畦の草刈は、トキの食料確保のための減農薬を実施している佐渡で大事な農作業の一つだ。しかし、日を遮るものが何もない、炎天下の草刈作業は地獄といっていい。トキもエサ探しは暑い日中は避け、木陰で休んでいる。しかし、腹がすいたのか日中のエサとりに出かけるトキがクチバシをあけてノドを鳴らしている様子を観察されることがある。動画はこの瞬間を撮影した。 

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トキが暑さのために口をあけて呼吸している(大山文兄撮影)

犬が暑い中、口をあけてハーハーするのと同様に、トキも口を開けて浅い呼吸を繰り返し、体温を下げようとしている。「パンティング」といわれる行動だ。

汗をかかない鳥

実は、ヒトのように汗を出して体温を下げる動物はそれほど多くはない。ウマやブタ、カバもまた全身で汗をかく。汗腺から汗を出し、汗の水分を蒸発させて放熱する。一方、毛に覆われている犬や猫は、肉球で汗をかくが少量で、口を開けて体温を下げる。

夕方になり、グループで田んぼに降り立ったトキの群れ。中にサギの姿も(大山文兄撮影)

鳥はトキに限らず、汗をかかない。飛行でエネルギーを多く消費するため、体温は40度とヒトより高い。そのうえ文字通り、身体は羽毛で覆われている。ヒトでいうと、真夏にダウンコートをまとっている状態だ。このため、体温を下げるために、口をあけて気道から蒸発を促し、体温を下げるのだ。

ただ、このトキの天然のダウンコートは寒さを防ぐと同時に、断熱という役目もあるという。

ペアからグループ行動へ

トキのヒナも巣立ち終え、グループでエサをとる行動が観察されるようになった。次の繁殖シーズンまではペアではなく、グループで行動する。

実を付け始めた田んぼを飛ぶトキ(大山文兄撮影)

真夏のエサとりが涼しい早朝と夕方で済むのは、夏はエサが豊富なためでもある。このエサとなる小動物を確保するために減農薬を行い、ヒトが炎天下で草刈りをする。草刈りで滝のように流れる汗をふきながら、逆転現象に苦笑いした。

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大山文兄(おおやま・ふみえ)産経新聞社写真報道局で新聞協会賞を2回受賞。新聞社時代に11年間にわたり、トキの野生復帰を取材。2020年に退社して佐渡島に移住、農業に従事しながら、トキをはじめとする動物の写真を撮り続けている。映像記者として佐渡の魅力を発信中。インスタグラムでフォローしてください

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