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山梨県主導のグリーン水素製造装置1号機が稼働、埼玉県のコンクリ部材工場で

Unit 1 of the Yamanashi Model P2G System that began trial operation on August 6, 2024, in Kawagoe, Saitama Prefecture. (©Sankei by Takashi Hirao)

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山梨県が主導するグリーン水素製造装置「やまなしモデルP2Gシステム」の第1号機が6日、埼玉県川越市のコンクリート部材工場で実証運転を始めた。既存の工場でのグリーン水素製造装置設置は国内初。工場などで必要になる熱源の燃料を都市ガスや重油などの化石燃料から、二酸化炭素(CO2)が発生しないグリーン水素への切り替え、脱炭素化の取り組みを支援する。すでに世界最大級の大型システムの導入が決まるなど、山梨県はP2Gの普及を進める。

ボイラー燃料に活用

今回導入したのはゼネコン大手、大成建設の子会社で建設用コンクリート部材を製造する大成ユーレックの川越工場。山梨県、東レ、東京電力エナジーパートナーなどが共同開発した固体高分子(PEM)型のP2Gシステムで、使用電力が500キロワットの小型タイプが運転を始めた。

国内最大の再生可能エネルギーによる水素製造施設新設で合意した山梨県の長崎幸太郎知事(左)とサントリーHDの小野真紀子常務執行役員=2022年9月5日、東京都港区(サントリーホールディングス提供)

同工場の屋根に設置した1メガワットの太陽光発電による電力を使ってP2Gで水を電気分解して水素をつくる。この水素をボイラーの燃料として蒸気を発生させ、その熱をコンクリートの硬化を促進させる養生工程に活用する。これまでボイラー燃料は全量都市ガスを使ってきたが、今後は約1割を水素に切り替える。

世界トップ級の大型も

山梨県では今回の500キロワットのタイプを標準的なパッケージ化した製品と位置付け、同タイプを量産することによってシステム価格引き下げ、普及を目指す。すでに、住友ゴム工業の白河工場(福島県白河市)に今回と同じタイプを納入することが決まっている。

大型化も進めている。サントリーホールディングスと、山梨県北杜市白州町の天然水工場と隣接するウイスキー蒸留所向けに、使用電力が16メガワットの大規模システムを令和7年中に稼働させることで合意。国内最大、世界でもトップクラスの施設となり、年間2200トンの水素製造能力を持つ。当初は地下水の蒸気殺菌の熱源だが、将来的にはウイスキーの蒸留にも活用する方針だ。

さらに、自動車大手のスズキがインドの自動車製造子会社で、熱源としてP2Gシステム構築の検討に入るなど、海外展開も視野に入れている。

6日の説明会で山梨県企業局の功刀稔永技監は「政府方針の2050年カーボンニュートラル実現に向け化石燃料からグリーン水素へのエネルギー転換を進めていく」とP2Gの導入拡大を図る考えを示した。

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