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地下深くから高温高圧の水をくみ上げ、大出力での発電につなげる「超臨界地熱発電」の実用化に向けた動きが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を軸に進んでいる。地熱発電は二酸化炭素(CO2)の排出量がほぼゼロで、政府が実現を目指す2050年までのカーボンニュートラルに資する再生可能エネルギーの一つだ。火山大国である日本は世界第3位の豊富な地熱資源を持つとされ、貴重な国産エネルギーをどこまで生かせるかも含め、今後の動向が注目される。
発電出力は従来型の数倍
地熱発電は、大ざっぱに言えば、地下からくみ上げた熱水の蒸気でタービンを回して発電する。このとき、残った熱水は再び地下に戻される。
現在、日本国内では出力が1000キロワット以上の地熱発電所が、東北や九州地方を中心として20カ所ほど稼働している。これらの従来型の地熱発電は、深さ1~3キロ程度の地下から温度が200~300度ほどの熱水をくみ上げている。
これに対して超臨界地熱発電は、マグマだまりに近い深さ4~5キロ程度の地層から、温度が400~500度ほどの熱水をくみ上げる。
液体の水は、圧力が1気圧だと100度が沸点となるが、この圧力を上げていくと沸点も上昇していく。圧力が218気圧まで上がると沸点は374度に達するが、これ以上の温度と圧力を持った水はもはや液体と気体の区別が無くなり、「超臨界水」と呼ばれる状態になる。この超臨界水を利用するから「超臨界地熱発電」というわけだ。
筆者:小野晋史(産経新聞)
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2024年7月13日産経ニュース【びっくりサイエンス】より
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