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温暖化の謎解明へ海中ロボ初投入、ガチャピンも同行 64次南極観測隊出発

Dr Takuji Nakamura (center, back row), a member of the 52nd Japanese Antarctic Research Expedition (JARE), poses for a commemorative photo with reporters and research team members in front of the Shirase research vessel, Showa Station, Antarctica, January 2011 (photo by JARE-52 member).

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南極・昭和基地に向け、第64次南極観測隊(伊村智隊長)が11月11日、観測船「しらせ」で東京・青海を出発した。地球温暖化が南極の氷に与える影響を解明するため、今回は厚い氷の下に潜り込めるAUV(自律型無人海中ロボット)を初めて投入。昭和基地があるリュツォ・ホルム湾で氷河の下部の形状や海底地形、水質などの観測を行う。期待される成果などを国立極地研究所の中村卓司所長に聞いた。

-64次隊は東南極最大級のトッテン氷河を重点的に観測する予定だが、狙いは

「南極の氷は多くが東側にあり、氷の下に暖かい水が入り込んで急激に溶けているといわれている。しかし、気温や海水温の上昇で南極の氷がどのように、どれだけ溶けるのかは分かっていない。さまざまな機器を使って、海中の温度を上から下まで測るなどして、温暖化の謎に迫りたい」

インタビューに答える国立極地研究所の中村卓司所長=東京都立川市(芹沢伸生撮影)

-他にはどんな活動を行うのか

「3回目の氷床コア掘削も準備する。南極大陸の厚い氷には地球環境の変動の痕跡がある。これまでに、72万年前の氷を掘り、過去の気候を分析した。さらに、100万年前までの氷床コアを掘り、地球の氷期、間氷期を調べる」

-南極で観測を行う意義は

「現在、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書は『人間の影響が大気、海洋および陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない』としている。地球上の氷の9割がある南極の変化が、地球全体の気温や海面の上昇のカギを握っている。地球の将来を見るには昔の気候を調べることも重要で、南極の氷を掘って過去の地球の履歴を知る重要性も増している」

-一方で世間の南極観測への関心は薄れている。今回はフジテレビの取材班が同行し、ガチャピンが現地からリポートするそうだが

「地球環境への危機感の高まりもあり、科学観測としての重要性を再認識してもらいたい。ガチャピンには南極観測業務に加え、昭和基地の当直も体験して、日々の隊員の暮らしを伝えてもらえたらうれしい」

64次隊を乗せた観測船「しらせ」の出港を見送るガチャピン=11月11日、東京・青海の東京国際クルーズターミナル(芹沢伸生撮影)

-第1次南極観測隊の出発は66年前の昭和31年11月。観測が始まった経緯は

「32~33年に行われた学術的な国際協力事業・国際地球観測年の一環で派遣が決まった。当時、南極は未知の世界。探検はしてきたけど、皆で観測をして南極を知ろうとなった。その準備で日本は1次隊を送った。結果は南極に基地をつくり、初期的な観測も行うなど大成功だった」--これまでに日本の観測隊が上げた成果は

「一番はオゾンホールの発見。57~60年の中層大気国際共同観測計画で観測を強化し、オゾンの減少に気付いた。最初は機械の故障を疑ったが、英国の観測データも減っていて『本物だ』と。次は隕石(いんせき)。10次隊が初めて発見してから約1万7000個を集めた。火星や月のものもある。3つ目は氷床掘削。日本人は精密な測定が得意で、分析精度も高いのが強みになっている」

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