植物の廃棄部分でバイオプラ ベンチャーが技術開発、大手の採用も広がる

廃材などの未使用のバイオマスから、バイオプラスチックの開発に成功したベンチャー企業を紹介。大手企業にも採用され、用途開発が進む。

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間伐材や廃材など未利用のバイオマス(生物資源)から、これまで活用が難しかった成分を抽出し、バイオプラスチックの開発に成功したベンチャー企業がある。原油由来のプラスチックに比べ二酸化炭素(CO2)の排出を削減でき、微生物の働きで最終的にCO2と水に分化される生分解性を持たせることもできる。大手企業からも商品として採用される例も出ており、用途開発も進もうとしている。

このベンチャー企業は事業革新パートナーズ(川崎市幸区)。素材を加工するために不可欠な金型や、金型を使って加工する素形材など「川中」の産業を支援するコンサルティング企業だが、「川上」で新しい素材をつくり「川中」に発注することができれば支援につながるのではないかと考え、バイオプラの開発に乗り出した。

バイオプラを開発するにあたり着目したのが「ヘミセルロース」という成分だ。長年、ヘミセルロースの研究をしてきた熟練技術者が中途採用に応募してきたことを機に、素材開発に着手した。

樹木などの植物中にはセルロースが40~50%、ヘミセルロースが20~30%含まれている。パルプの主成分であるセルロースは広く利用されているが、ヘミセルロースは抽出や加工が難しく、ほとんど利用されずに廃棄されたり燃やされたりしていたという。

バイオプラスチック「HEMIX」でつくったタンブラーを手にする事業革新パートナーズの茄子川仁社長(高橋俊一撮影)

事業革新パートナーズでは、植物や樹木に熱や圧力をかけてヘミセルロースを抽出する最適条件を見いだした。抽出したヘミセルロースに天然素材の添加物を加えることで化学処理を施し、バイオプラを完成、「HEMIX」の商品名で販売している。透明度や耐熱性、強度などさまざまな性能を持たせることができる。

大手企業の採用も進み始めた。令和3年3月にはJR東日本の子会社でベンチャー企業との協業を行うJR東日本スタートアップ(東京都港区)と、福島県の鉄道林間伐材から抽出したヘミセルロースを使用したタンブラーを開発、限定販売した。

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ファンケルが採用したファンデーションの包材。ビール製造時に発生する大麦の絞りかすからつくっている(ファンケル提供)

化粧品・健康食品メーカーのファンケルはビール製造時に発生する大麦の絞りかすから抽出したヘミセルロースを用いたシートでつくった包材の採用を決めた。まず3月に発売するファンデーションの新製品の保護材として採用、他の製品の包材にもこのシートを使うことを検討している。

HEMIXの普及にあたっての課題はコストだ。一般的に石油由来のポリプロピレンやABS樹脂などのペレットは1キロ当たり200~300円程度だが、HEMIXは1000円程度と数倍高い。ただ、CO2の排出削減につながるほか、食品残渣(ざんさ)を原料にした場合は廃棄費用が軽減できるメリットもある。金型メーカーと組んで最終製品を効率的に製造するプロセスを開発するなどして、トータルのコストを引き下げていく考えだ。

事業革新パートナーズの茄子川仁社長は「HEMIXは求められる用途に合うように開発でき、国内だけでなく海外メーカーからも開発依頼を受けている。ライセンスを供与することで普及を進め、地球温暖化防止に貢献したい」と話している。

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