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新幹線のアルミ再生技術の確立
新幹線の車両には、その超高速走行と安全性を確保するために高品質・高強度のアルミニウム素材を使用している。一方で、車両の新旧交代で退役する車両のリサイクルが課題でもあった。JR東海は、2020年3月に退役した700系新幹線車両に使用されていたアルミから付着物を取り除いて、高純度のアルミ合金のみを抽出する手法を開発することで、工業製品の規格基準を満たす高品質の再生アルミの製法を確立した。
この再生技術によって、アルミを新規に製造する場合に比べてCO2の排出量を97%削減でき、環境への負荷を軽減することができるという。さらに、元々の車両用のアルミ素材は強度が高く、高品質を保持しているので、再生素材も(日本国内の)建築基準法に準じた素材であるため、装飾品だけでなく、建築材料や精密機械にも転用が可能とされる。
具体的な応用例として、2020年8月に東京駅八重洲北口に開業した商店街「東京ギフトパレット」の「のれん」、「柱・天井」、「壁」への建築材料に使われている。
再生アルミは民生品にも応用
新幹線の再生アルミは用途を拡大して、ネクタイピンやスプーンなどの雑貨品にも生まれ変わっている。
さらに、スポーツ用具大手のミズノと共同開発で子供用の野球バットにもリサイクルアルミが活用されたものが商品化された。リサイクルアルミでのバット作成は技術的に難しいとされていたが、再生アルミをバットに適した材料に成分調整することで商品化が実現できた。
デザインにもこだわり、配色は新幹線カラーを忠実に再現、特に新幹線ファンにとって希少性の高い「ドクターイエロー(線路や架線の点検用に走行する点検用の新幹線車両)」をモデルにしたものもあり、鉄道ファンの心をくすぐる商品にもなっている。
JR東海は、「日本の20世紀後半の高度経済成長の象徴となった新幹線がさまざまな商品に再生品として蘇ることで、日本の技術及び日本人の持つモノを大切にする心をアピールしたい」としている。
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