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日本国内で広く栽培されているコメを「資源」ととらえ、社会課題の解決を目指しているベンチャー企業がある。コメを原料にしたバイオマス(生物資源)プラスチック「ライスレジン」を製造するバイオマスレジンホールディングス(東京都千代田区)だ。
バイオプラは、石油由来のプラスチックに比べ焼却時の二酸化炭素(CO2)排出を減らすことができる。ライスレジンは古米や米菓メーカーで発生する破砕米など食用には適さないものを原料にしており、国内で調達できる。
コメをプラスチック化するため白米の状態のものに水を加えて熱し、のり状にする。さらに熱を加えながら石油系の材料と均一に混ぜることでプラスチックの機能を持たせることができるようになる。温度が高すぎると焦げてしまうため、温度管理が重要なポイントになるが、最大70%までコメを原料にできる。
環境問題に対する意識の高まりから用途も広がっている。ロングセラーとなっている赤ちゃん用の「お米のおもちゃ」をはじめ、外食チェーンのテイクアウト用のフォークやスプーン、食品パッケージ、ゴミ袋など800アイテムほどに採用されているという。
昨年12月に福島県浪江町に工場を新設、新潟県南魚沼市、熊本県水俣市と合わせ、年間1万トンの生産体制を整えた。需要次第にはなるが、生産拠点は10カ所まで拡大する計画がある。コストを下げるために、大規模化や24時間稼働なども進めていく考えだ。
神谷雄仁代表取締役CEO(最高経営責任者)は「日本から世界に供給できるレベルまで量産化するモデルをつくりたい」と話す。実現できれば、需要が減って休耕田が増えている日本のコメ作りを守ることにもつながるはずだ。
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