断水の避難所に水再生装置のシャワー 17年前の能登地震が開発の原点
能登半島地震で断水が続く石川県七尾市の避難所で、水再生装置を用いたシャワーセットが大活躍している。
This post is also available in: English
能登半島地震で最大震度6強の揺れに見舞われ、断水が続く石川県七尾市の避難所で、水再生装置を用いたシャワーセットが大活躍している。5日までに4カ所を回り、数百人が被災以来の汚れを洗い流した。同市内には9日まで設置予定で、要望があれば他の断水地域にも行きたいという。開発の原点は、同県出身の創業者が平成19年に経験した能登半島地震だった。
「温かくて、とても気持ちが良かった。シャワーがあると全然違う」。 約200人が避難する同市立和倉小学校で5日、中学2年の小崎由愛さん(14)が笑顔を見せた。最後にシャワーを浴びたのは大みそかだったという。
同小には同日午後に2台のシャワーセットが設置され、プールにたまっていた水を再利用。避難者らは用意されたボディーソープやシャンプーなども使って1人10~15分ほどの温水シャワーを浴び、さっぱりした表情を見せていた。その場に偶然居合わせてシャワーの存在を知り、急いで自宅まで入浴セットを取りに帰った被災女性の姿もみられた。
シャワーセットを開発したのは、東京のベンチャー企業「WOTA(ウォータ)」。AI(人工知能)で水質を管理する水循環システムやシャワー用と脱衣用のテント、水タンクや給湯器などで構成される。中核となるのは5種類のフィルターで、シャワー後の水を98%以上も再利用できるようにろ過する。100リットルの水があれば100人がシャワーを浴びられるという。
七尾市内を巡回しているのは、WOTAと連携している大阪市住吉区のイベント企画会社「Hatch PLANNING(ハッチプランニング)」。代表取締役社長の柿花健さんは「非常に手応えを感じている。要望があれば他の断水地域にも行きたい」と話す。
WOTAによると、シャワーセットは西日本豪雨で投入後に量産化され、昨年の秋田豪雨やトルコでの大地震の被災地でも活躍するなど、これまで延べ2万人以上にシャワーを提供してきた。
同社創業者で元CEOの北川力さん(36)は石川県出身。平成19年に能登半島地震が起きたときに穴水町で被災し、断水の不便さを経験したことが、東京大大学院で出会った仲間との起業につながったという。現在は金沢市を拠点に活動している北川さんは「役立っているようで良かった」と話した。
2024年1月11日JAPAN Forwardから転載しています。
This post is also available in: English