This post is also available in: English
記録的な暑さが続く中、夏に最盛期を迎える野菜の生育や酪農、魚の養殖などにも影響が出ている。生産者が収穫量の減少に直面する一方、価格高騰は消費者の懐を直撃しそうだ。
「例年の10分の1程度しか出荷できていない」
静岡市駿河区で露地栽培を行う「農園ナランハ」の経営者、四ツ田和也さんは肩を落とした。夏野菜のパプリカやピーマン、ナス、トマトが猛暑の影響で生育が良くなく、収穫量が大きく減った。「来年からは(暑さを避けるために)栽培時期を2カ月程度早める必要がある」と話した。
同市に隣接する静岡県焼津市の「三和農園」でも、「出荷量はナスが例年より3~5割減少し、オクラはほぼ出荷できなかった」(代表の河村亮さん)。ナスの生育には多くの水分が必要となるが、この夏は雨がなかなか降らず、実が固くなるなどして出荷できないものが多かったという。
生育不良は小売りの店頭に波及する。静岡県内でスーパーを展開する田子重(焼津市)によると、「ナスやピーマン、キュウリなどで品薄の状態が続き、価格も上昇している」(担当者)。
日本有数の酪農県である千葉県。飼料代や電気代の高騰といった生産コストの上昇で経営が厳しい酪農家に、猛暑が追い打ちをかけている。乳牛は暑さに弱いためだ。
県酪農農業協同組合連合会によると、6月の県全体の生乳生産量は1日当たり平均521トンで前年同月を上回ったが、7月は467トン、8月は434トンだった。夏場は生産量が落ちる傾向があるが、「過去に例のない落ち込み」と担当者。「暑さで体調を崩して再起不能になる乳牛もいるため、今後の経営への不安にもつながる」という。
水産業にも影響が生じている。ブリやマダイなどの養殖が盛んな高知県宿毛市の宿毛湾では、一部の養殖業者で、お盆前に出荷予定だったブリが大量に死んだ。猛暑の影響で7月ごろから海水温が平年と比べて高い状況が続いていたという。
地元の「すくも湾漁業協同組合」では、出荷前に水深の浅い場所に魚を移すことで大量死が起きるとして、当面は出荷を控えるよう呼び掛けた。担当者は「暑さが和らぎ水温が下がるまでは仕方がない」とこぼした。
This post is also available in: English