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【佐渡生き物語】スカベンジャー(ゴミアサリ)とはいわさない!トビの実力を見よ!

Black kite catching a leaping grasshopper (©Fumie Oyama)

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実りの秋。稲刈りで田にコンバインを入れると、風を切りながら舞い降りるのがトビだ。新潟県佐渡は、国の特別天然記念物、トキが野生で生息する日本では唯一の場所だ。私はトキを撮影するために東京から佐渡に移住した。通常の被写体はトキだが、トビの迫力に思わず、カメラを向けた。

コンバインの横を並行して飛ぶトビ(大山文兄撮影)

見事な飛行

今年は9月に雨が多く、米の収穫時期が遅れてしまった。雨で稲が倒れてしまい、コンバインで刈るのも通常の3倍近い時間がかかっている。私は今年から初めてコンバインに乗り稲を刈ることになり、当初は四苦八苦したが、コツをつかむと楽しい。そこで驚かされたことがある。

シュ!

稲刈り作業中に、風を切って私の真横をかすって急降下するのがトビだ。コンバインの音に驚いてバッタやカエル、ネズミが飛び出してくるのを狙い、トビが目前で獲物を捕獲した。空中でエサをつかむ技は見事なものだ。

しっかりと足でバッタをとらえたトビ(大山文兄撮影)

一段下に見られているトビ

トビは、全長約60センチ。タカ科に属し、トンビとも呼ばれる。翼を広げると160センチにもなる。「ピーヒョロロロ」という高い声で鳴き、日本全国で見られる馴染みの鳥だ。雑食性で死骸やゴミなどをあさったりすることから、掃除屋などと呼ばれている。ことわざも「トンビに油揚げをさらわれる」(大切な物を不意に横取りされること)といったり、「トビがタカを生む」(平凡な親から人並優れた子どもができること)など、一段下に見られがちだが、立派なハンターだ。飛び出してきた小さな虫も、急降下して見事にクチバシや鋭い爪がついた足でとらえる。

鋭い爪で、エサの虫と一緒に稲もつかんでたトビ。米が飛び散った(大山文兄撮影)

トキとも共存 

刈り取られた田は、鳥たちの豊富なエサ場と化す。コンバインを操作する人は何もしてこないと知っているため、トビはコンバインを全く恐れない。おかげで、トビのハンティングを間近で見ることができた。虫と一緒につかんだ稲も器用に落とす。私の頭上に虫が止まったのか、トビに帽子をとられそうになったこともあった。

刈り取られた田はトキにとっても餌場だが、臆病なトキはコンバインに近づかない。トキはコンバインが遠く離れてから、田に入り土の中のドジョウなどをクチバシや足で探って捕まえる。このため、トビとエサの奪い合いは起きない。ただ、トビ同士のエサの奪い合いはしょっちゅうだ。その迫力を間近に見られるのも、コンバインに乗る醍醐味だと感じている。

エサを取り合うトビ(大山文兄撮影)

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大山文兄(おおやま・ふみえ)産経新聞社写真報道局で新聞協会賞を2回受賞。新聞社時代に11年間にわたり、トキの野生復帰を取材。2020年に退社して佐渡島に移住、農業に従事しながら、トキをはじめとする動物の写真を撮り続けている。映像記者として佐渡の魅力を発信中。インスタグラムでフォローしてください。

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