日本在住20年の米国人の風呂文化体験 スパワールドは唯一無二だった!

大阪のディープサウス、新世界の入口にあるスパワールドホテル&リゾートで、世界の風呂文化を体験することができる。

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私は、日本に20年以上住み、日本が第2の故郷になっているアメリカ人だ。日本の温泉や伝統的な銭湯が大好きで、特別な思い入れがある。しかし、日本の風呂文化についての知識や経験はあったが、スパワールドのような体験をしたことはなかった。

是非、私の体験を共有してほしい。スパワールドは、私が予想していた温泉リゾート以上のものだった。同施設が位置する「新世界」とよばれるエリアは、大阪・ミナミの道頓堀からさらに南にあり、歴史に根ざし、地域経済を向上させる努力を続けている。スパワールドは、単なる観光名所ではなく、周辺の地域社会にとって不可欠な存在だった。

新世界のランドマーク

新世界の玄関口にあるのがスパワールドホテルだ。このエリアは、問題を抱えていた地域の再生のモデルといってよいだろう。そう遠くない昔、新世界周辺はホームレスや日雇い労働者のまちだった。しかし、2001年にユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)がオープンすると、状況は変わり始めた。USJは新しい観光客を引き寄せるようになった。大阪に数日間滞在するツーリストは、USJ以外の観光場所も探索したがった。スパワールドはこの変貌に少なからぬ役割を果たし、USJと次に訪れる観光場所になっていった。

温水プールにつかり、時間によっていろんな表情の通天閣を楽しめる(杉浦美香撮影)

新世界は賑やかな立ち飲みや飲食店(串カツが有名)、そして通天閣のような象徴的なランドマークが自慢だ。一歩足を踏み入れると、まるで昭和の時代にタイムスリップしたかのような気分になる。屋根があるアーケード街では、かつて温泉街でよく見られた懐かしい射的があり、毎日がカーニバルのようだった。

平日の昼間だったが、多くの観光客が訪れカーニバルのようだった(杉浦美香撮影)

国内外からの観光客

スパワールドの入場者は、年間約100万人に及ぶという。日本の風呂やリラクゼーション文化を体験したい人々を惹きつけてやまない。特筆すべきは、来場者の約20%がインバウンドということだ。内訳としてヨーロッパと韓国からの客がかなりの割合を占めているという。スパワールドのCEO、岩崎圭祐氏によると、これらの国の文化圏には独自の風呂文化があり、日本に旅行した際、スパワールドを訪れる背景になっているという。

スパーワールドの大看板の前に立つ岩崎CEO(杉浦美香撮影)

2023年7月、スパワールドは「スパワールドホテル&リゾート」としてリニューアルオープン、世界中のゲストに日常の喧騒から逃れることができるサンクチュアリを提供している。

風呂文化の推進

スパワールドは、一般的な「スーパー銭湯」ではない。マッサージやレストラン、ゲームや大量のマンガも備え、くつろぎながら読むことができる。「スーパー銭湯」の高級版、風呂好きのためのアミューズメントパークといえよう。

全部で12カ国17の風呂があり、アジアとヨーロッパをテーマにしたエリアに分かれている。男湯と女湯が毎月入れ替わり、月を変えれば両方のテーマを体験できる。

最初に体験した、ロマネスク風風呂(スパワールド提供)

私が訪れたとき、女風呂はヨーロッパがテーマだった。私はサウナに慣れ親しんできており、女風呂がヨーロッパエリアに割り当てられていたのを喜んだ。

まず、一歩中に入ると、ロマネスク風の風呂が迎えてくれ、古代への想像をかきたてられた。イタリアの「青の洞窟」をテーマにした洞窟風呂や、スペイン風の露天の滝など、どの風呂もユニークな体験だった。私のお気に入りはギリシャの湯だった。アロマバスがあり、湯が一番熱かったからだ!

フィンランドのサウナハウス。高温と低温がある(スパワールド提供)

スパワールドはまさにパラダイスだった。サウナのことを忘れてはいけない。高温サウナ、塩サウナ、スチームサウナ、アロマスチームサウナ、そして私のお気に入りは、屋上に備えられた「バレル(樽)サウナ」だ。アロマの蒸気を吸い込みながら、バレルの中から通天閣を眺めるのは、今回の訪問のハイライトだった。熱いサウナの後に冷水風呂に飛び込んだ後の爽快な気分は、今回の体験を完璧にしてくれた。

唯一無二

スパワールドは巨大な施設である。その全容を知るには、少なくとも1泊するか、何度も訪れる必要がある。日本、そして世界の風呂文化を体験できるまさに唯一無二の施設だ。

海底に沈んだ伝説のアトランティスをイメージした風呂(スパワールド提供)

入浴だけが全てではない。ウォータースライダーのあるプールエリアは家族連れに人気だ。風呂とは違い、プールエリアでは水着着用なので、家族やカップルで一緒に楽しむことができる。樽サウナや屋上プールも水着を着て男女が楽しむことができる。さらに、カウンターバーがあり、カクテルや食事を楽しむことができる(なんとプールにつかりながら!)。

特別な環境への配慮

スパワールドは、リラクゼーションの場を提供するだけでなく、環境保護と地域社会への貢献に取り組んでいる。バス、シャワー、プールに使用される水は、温泉、地下水、市営水道の3つの水源から供給されている。シャワーと一部の浴槽で使用される地下水は、安全のためにろ過されている。

bath culture
屋上に備えられた「バレルサウナ」(杉浦美香撮影)

また、この施設はコミュニティにも積極的に貢献している。養護学校の子どもたちを定期的に招待するほか、南海トラフ地震のような災害時には、一時避難施設としての役割も果たす。

今後の展開

2030年ごろには、なにわ筋線の開業で関西国際空港とスパワールドの最寄りの新今宮駅、そしてキタエリアが結ばれることになる。スパワールドは新たな来客の流入を見込んでおり、地域経済を活性化させるチャンスが増えることになる。さらなる設備投資も計画しているという。

入れなかった世界の大岩盤浴エリア。漫画本も備え付けられている(杉浦美香撮影)

スパワールドは単なる目的地ではなく、体験する場だ。風呂を楽しむだけでも十分だが、食事やエンターテイメントが楽しめる活気ある新世界の街の魅力も加わり、大阪を観光するなら必見の場になっている。

日常から離れてこれらの魅力を存分に味わうには、来館するだけではなく、宿泊することをお勧めする。私は1泊したが、時間が足らず世界8カ国の岩盤浴が楽しめる「世界の大岩盤浴」体験を逃してしまった。このため、帰途につきながら再来を誓った。

(スパワールドは、Japan 2 Earthのロゴ・パートナーです。)

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