下水汚泥燃焼灰から肥料、商品化へ埼玉県が全国初の規格登録「荒川クマムシくん1号」

埼玉県は、荒川水循環センターでの下水処理過程で出る汚泥の燃焼灰を原料とする肥料「荒川クマムシくん1号」を開発し、農林水産省の新規格「菌体りん酸肥料」に登録した。

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埼玉県は、荒川水循環センター(戸田市)での下水処理過程で出る汚泥の燃焼灰を原料とする肥料「荒川クマムシくん1号」を開発し、農林水産省の新規格「菌体りん酸肥料」に登録した。県によると、自治体としてこの規格への登録は全国初という。県は今後、民間の肥料会社との連携を進め、商品化に乗り出す。

県によると、下水汚泥の燃焼灰は植物の育成に必要なリン酸などが豊富に含まれ、化学肥料の代替としても期待される。しかし、カドミウムや水銀などの有害物質が含まれていたり、含有成分のばらつきも大きい。肥料の成分保証ができず、他の肥料に混ぜて生産・販売することもできなかった。

下水汚泥燃焼灰の荒川クマムシくん1号(県提供)

県は4月に同省の菌体りん酸肥料に登録。規格に合うよう定期的な成分分析を行って品質を安定させる。肥料成分の保証に加え、肥料混合も可能になったという。

同センターでの下水処理の過程では、クマムシなどの微生物を活用し、汚れのもとを食べさせている。これにちなみ、名称を「荒川クマムシくん1号」とした。

県は、既に複数の肥料会社との間で商品化に向けた協議を始めた。今後、県独自で肥料としての有効性を検証することも検討している。

県によると、県内で発生する下水汚泥は年間約50万トン。燃焼灰は同約1万トンで、これまで有償で処理していた。県は当面、このうち200~300トンを肥料として利用していく計画という。

日本は窒素やリン酸など肥料の主要な原料資源についてほぼ全量を輸入に依存する。ウクライナ侵攻など国際情勢の変動により、肥料価格は高騰するリスクを抱え、安定供給が課題とされている。

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