関西、そして日本に未来はあるか?Japan 2 Earth 第1回対面セミナー開催
地球環境の保全を目指す日英バイリンガルサイト「Japan 2 Earth」(J2E)とJAPAN Forward共催の対面セミナーが7月4日、大阪市で初めて開かれました。「万博に沸く大阪、そして日本に未来はあるのか」と題した対談も開催され、活発に意見交換が繰り広げられました。

地球環境の保全を目指す日英バイリンガルサイト「Japan 2 Earth」(J2E)とJAPAN Forward共催のビジネスセミナーが7月4日、大阪市で初めて開かれました。志を同じくするJ2Eのサポーター企業を中心に25人が参加しました。
歴史の舞台となった新世界
会場となったのは、新世界といわれる大阪のシンボル通天閣を目の前に臨む世界の温泉「SPA WORLD」です。



ハイライトの一つがSPA WORLDを運営する阪神住建(大阪市)社長、岩崎圭祐氏とリゾートや外食など幅広く事業展開しているシルバーバックスプリンパル(東京)社長、日野洋一氏2人の対談です。「万博に沸く大阪、そして日本に未来はあるのか」と題し、共にビジネスと地域再生に携わる経営者として万博、大阪の変容、そして日本の未来について熱く語り合いました。
岩崎氏はまず、SPA WORLDが1997年に誕生した経緯について振り返りました。同施設は大阪市交通局の跡地に1997年、都市型立体遊園地として開発されたフェスティバルゲートに隣接してオープンしましたが、遊園地は経営難で約10年で閉園、SPA WORLDが取り残される形となりました。厳しい時代を経て、新世界は日雇い労働者のまちでスラム街のように見られていた時期もありましたが、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の大阪開園をきっかけに海外ツーリストからも注目され、訪日外国人が利用するようになり、人気浮上につながっていったそうです。

インバウンドの波とその先の課題
来場者が1000万人を超えた関西万博の影響について問われ、岩崎氏は新世界が明治36(1903)年に開かれた第5回内国勧業博覧会の地であることに触れました。「100年以上前に今と遜色ないような規模の万博がこの地で開かれた。(今開かれている)万博も世界をつなげ、大阪の自信につながっている」と語りました。
日野氏は運営している神戸港のクルーズ事業について言及。兵庫の小学校が万博を訪れる移動手段として神戸港を結ぶ航路の需要を見込んで準備していましたが、構想通りに至らなかった点を振り返りつつ、現在は徐々にインバウンドの航路利用が増えてきていることを明らかにしました。ただ、インバウンド需要については翳りを見せており、万博後の反動に対して懸念を示しました。
日本の政治について、日野氏は「今のままでいくと、日本の未来はない」とバッサリ。「トランプ米大統領との貿易交渉も日本の政治家はなんとか勘弁してもらおうという姿勢でリーダーシップがない」と憂えました。
また、ヒトが類人猿から進化した過程に触れ「ヒトは協業してマンモスなどの獲物を狩り、生き延びてきた。仲間に貢献することが楽しいという感覚が食物連鎖のトップの地位を確立した」と述べました。そのうえで、「働き方が変わり、労働者と経営者が分断されてしまっている。チームへの貢献ができないメンバーとは働けない」と現代の働き方に疑問を呈し、「五感の共有、みんなでわかりあえるのは楽しいと思える気持ちが重要。それが未来につながる」と結論づけました。
日本式経営と人の力、共感のメディアの可能性
JAPAN Forward、Japan 2 Earthについて日野氏は「今回のセミナーのようにバーチャルではなく、もっとリアルにチームワークを構築してほしい。この共感関係をメディアとしてもっと活かしてほしい」と期待を示しました。
岩崎氏は「私の会社は新卒採用で社員を構成しており、帰属意識も強い。長期的にみると、言語を超えたコミュニケーションができ、経営者も社員を大事にする日本式経営のやり方が重要だと考えている。ブラッシュアップする必要はあるが、日本式の良さをメディアとして発信してほしい」とメディアの役割に期待を寄せました。

JAPAN Forwardの太田英昭・代表理事は参加者、サポート企業に感謝の言葉を述べたうえで、「日本と日本人はもっと元気になり、世界に貢献できるチャンスがある。そのために日本が信頼される必要があり、JAPAN Forwardはその信頼を得るために貢献する」と語りました。

内藤泰朗・JAPAN Forward編集長は「希望を生み出し、よりよい世界を信じ進んでいきたい」と抱負を述べ、杉浦美香・Japan 2 Earth編集長は、55年ぶりの万博の大阪開催という記念すべき年に大阪でセミナーを開催できたことに感謝し、対面のネットワークづくりの機会をさらに作ることを表明しました。
セミナー翌日には一行は大阪・関西万博の会場を訪問し、民間企業として出展している台湾の「TECH WORLD」パビリオンをはじめ、インド、イタリアの展示館を視察。国境を超えた交流と理解を深める貴重な機会となりました。






万博の様子。㊧上時計回りで万博マスコット、台湾、イタリア、インドパビリオンにて