脱炭素へ電力など3分野で政策協調、協力覚書を官民で計68件 AZEC閣僚会議で合意

日本が主導する東南アジアなどとの脱炭素の連携枠組み「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」が、電力、運輸、産業の3分野での政策協調を盛り込んだ共同声明を採択した。

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日本が主導する東南アジアなどとの脱炭素の連携枠組み「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」の閣僚会合が21日、インドネシアの首都ジャカルタで開催され、電力、運輸、産業の3分野での政策協調を盛り込んだ共同声明を採択した。参加国と日本企業などとの間で計68件の協力覚書も締結。火力発電に依存する東南アジアの事情に合わせ官民一体で脱炭素化を後押しする。

「アジア・ゼロエミッション共同体」の会合に出席した各国の閣僚ら=21日、ジャカルタ(経産省提供)

閣僚会合は今回が2回目。共同議長を務めた斎藤健経済産業相は会合後の記者会見で「日本は具体的な脱炭素化プロジェクトへの支援などを通じ、アジアの成長に貢献する」と強調した。

電力分野では火力発電所の脱炭素化に向け、水素やアンモニアを混ぜて二酸化炭素(CO2)の排出を減らす燃料転換を支援。発電所から出るCO2を地下に埋めて貯留する「CCS」の法整備なども後押しする。

運輸分野では持続可能な航空燃料(SAF)やバイオ燃料の供給網構築に向けた工程表の作成などで協力。産業分野では工業団地で使う電力の再生可能エネルギーへの切り替えなどを支援する。

会合に合わせ、参加国と日本企業などとの間で覚書が結ばれた。バイオ燃料などについて豊田通商はインドネシアの国営石油会社と共同開発・供給の覚書を締結。脱炭素の司令塔組織「アジア・ゼロエミッションセンター」も同日、ジャカルタで業務を開始した。

日本はCO2削減の対策を講じた石炭火力発電の継続を主張しており、事情の似通った東南アジアへの脱炭素技術の提供は石炭火力の廃止の機運を強める欧州諸国に対する現実路線の陣営づくりの面がある。東南アジアでエネルギーインフラへの関与を強める中国を牽制(けんせい)する意味合いもある。

AZECは岸田文雄首相が提唱し、ミャンマーを除く東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国と日豪の計11カ国が参加する。10月にはラオスで2回目の首脳会合を予定する。

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