【佐渡生き物語】冬の備えでトキも食欲旺盛!
新潟県佐渡島の生き物を紹介する映像記者、大山文兄のフォトエッセイの第16回目は、冬を前に、国の特別天然記念物トキの食欲旺盛ぶりをお届けします。
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日本海の強い風の影響で雪が少ない佐渡でも寒さが募り、冬が近づいている。厳しい冬を前に、トキは食欲旺盛ぶりをファインダー越しで見せてくれる。このコラムでは続けてサギ、トンビを紹介したが、ライフワークであるトキの生態を報告する。
のどを詰まらせる?
稲刈りも終わり、エサが見つけやすくなった田の泥にクチバシを突っ込みエサを飲み込む姿をよく見かける。撮影していると、首を大きく振って飲みこもうとしているのか吐き出そうとしているのか苦しそうだった。
環境省によると、トキが必要なエネルギーは約230kcal。トキのエサであるドジョウに換算すると、50匹程度になる。佐渡にトキ約530羽が生息していると推定されるため、単純計算で1日2万6500匹のドジョウが必要になってくる。実際、トキはカエルやサワガニ、ミミズ、バッタなどの昆虫をエサにしており、大量の小動物が生息する自然環境が必要になっている。
中国にトキが返還
この10月31日、佐渡トキ保護センターで育ったトキ16羽が羽田空港から中国に移送された。日本のトキは2003年に一度絶滅しており、中国から贈られたトキを人工繁殖させて増やして放鳥、野生復帰を進めている。日本は中国政府と覚書を交わしており、中国から日本へ提供されたトキの子の半数を返還することになっている。今回、返還されたのは2016年から2022年に生まれたオス7羽とメス9羽。
返還は2016年以来、8年ぶりとなる。新型コロナウイルスの世界的な蔓延の影響で期間があいた。
中国の外交政策では「パンダ外交」が知られているが、このトキも日本と日中の友好関係が築かれており「空飛ぶ大使」と言える。ただ、今回移送されたトキは北京動物園が受け入れることになっている。
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大山文兄(おおやま・ふみえ)産経新聞社写真報道局で新聞協会賞を2回受賞。新聞社時代に11年間にわたり、トキの野生復帰を取材。2020年に退社して佐渡島に移住、農業に従事しながら、トキをはじめとする動物の写真を撮り続けている。映像記者として佐渡の魅力を発信中。インスタグラムでフォローしてください。
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