不要な化粧品をクレヨンに 「美容ゴミ0」目指す大沢美保さん

大沢美保さんは、化粧品業界の廃棄物を減らすことを使命とし、使用済みの化粧品をクレヨンにアップサイクルしています。

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家庭でも美容業界でも、古くなり、使いきれず捨ててしまうことも少なくない化粧品。「美容ゴミ0を目指したい」と、「Maison de Mou(メゾンドムー)」(中央区)代表の大沢美保さん(39)は、役目を終えた化粧品を回収し、クレヨンに再生することで新たな価値を生み出すアップサイクルプロジェクト「COSME no IPPO(コスメノイッポ)」を立ち上げた。「コスメのアップサイクル」を通じて、物の大切さや環境問題についても問いかけている。

回収の対象品は、口紅、アイシャドー、ファンデーション、チークなど。基本的にリップグロスとリップクリーム以外ならばメーカーを問わない。

昨年10月の同プロジェクト始動以降、複数の商業施設で回収を実施。6月には松屋銀座(同区)で回収を行い、約2週間で1500個以上が集まった。

一期一会の特別感

鮮やかで多様な色味が魅力の化粧品を生かすため、「画材にアップサイクルしよう」と考えた大沢さん。回収した化粧品の中身をクレヨンとして製品化し、「ハロヨン」と名付けた。

ハロヨンは約12センチの三角形のクレヨン。製品からもゴミを出したくないという思いから巻紙もつけていない。豊富な色やラメなど多彩な化粧品から作られていることから、1本として同じ色のクレヨンはない。「唯一無二の色に出合える楽しさがある」と、一期一会の特別感も味わってほしいという。

「化粧品が大好きでわくわくしていたのに、捨てることで罪悪感を抱いてしまうのは悲しい」。美容業界に携わる中、数回の撮影にしか使われず、新製品に向けたサンプルなどで大量の廃棄が生まれる現状を目の当たりにし「美容業界のゴミをなくしたい」と考えていた。消費者としても、化粧品は使い切れずに劣化や使用期限を迎えることや、肌との相性などで捨てなければならないこともある。

回収を始めると、消費者に限らず、メーカーやメークアップアーティストなど業界内からの提供も多く、需要と廃棄への課題意識を実感したという。

ワクワクつなげて

子育て中の母でもあり、「子供たちにより良い地球を残したい」と、クレヨンという「お絵かき道具」で楽しみながら環境を考えるきっかけになることも望んでいる。サステナブル(持続可能)な活動に関心が高まる中、「一過性のはやりではなく、継続して回収できる仕組みを整えたい」と普及を目指す。

回収を通じて、大量の物が廃棄されている環境問題やアップサイクルの意義とともに、「本当に欲しいものは何か」と、物を大切にする心も伝えたいという。「ワクワクして買った物が、誰かのワクワクにつながるとうれしい」と、化粧品を次の役割を持った姿に生まれ変わらせている。

8月23日から9月5日まで西武渋谷店(渋谷区)で回収を実施。同プロジェクトのインスタグラムなどを通じて随時、個別回収も可能だ。ハロヨンは公式サイトなどから購入できる。

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