日本人3人目のラムサール賞 呉地さん「ガンたちと喜びたい」

日本人3人目のラムサール賞 呉地さん「ガンたちと喜びたい」

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国際的に重要な湿地保全への貢献に贈られる「ラムサール賞」を日本人として3人目に受賞したNPO法人「ラムサール・ネットワーク日本」(東京)の呉地正行(くれち・まさゆき)理事(73)は8日未明(日本時間)、スイス・ジュネーブで開催中のラムサール条約第14回締約国会議での授賞式に出席し、「受賞の喜びを友人たち、そして愛するガンたちと分かち合いたい」と語った。

長年の保護活動の結果、数が増加に転じた絶滅危惧種のシジュウカラガン=2月11日、宮城県栗原市(共同)

呉地さんらは昭和50年代から、絶滅寸前だったシジュウカラガンの保護活動を開始。宮城県大崎市の「大崎耕土(こうど)」と呼ばれる水田地帯で、冬場も水田に水を張る「ふゆみずたんぼ」という伝統農法を現代によみがえらせることにより、ガンの生息地を確保してきた功績が評価された。同賞の3つの部門のうち「ワイズユース(湿地の賢明な利用)賞」の受賞は日本人として初めて。

この日の受賞スピーチで呉地さんは「半世紀に及ぶ湿地保全の努力は容易ではなかったが、夢を分かち合ったさまざまなグループの同僚たちと乗り越えてきた」と英語で語り、「どうもありがとうございました」と日本語で結んだ。

シジュウカラガンのねぐらの一つ、蕪栗沼のほとりで復活までの取り組みを語る「日本雁を保護する会」会長の呉地正行さん=2月12日、宮城県大崎市(共同)

会場となった国際会議場の一角には、ラムサール・ネットワーク日本の展示コーナーが設けられ、大崎市の鳴子温泉郷での大規模風力発電計画について「シジュウカラガンの渡りに重大な影響を与える」と訴えるポスターが掲示された。

【ラムサール条約】湿地の保全と賢明な利用の促進を目的とする国際条約。1971年、イランの都市ラムサールで採択され、75年に発効した。日本は80年に加盟、条約による登録湿地は国内に53カ所ある。

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