JR西日本、水素で動く燃料電池列車導入へ ディーゼル車と置き換え

JR西日本が水素で動く燃料電池列車の導入を発表した。水素燃料列車をめぐってはJR東日本が試験走行を実施しており、二酸化炭素排出量実質ゼロ達成に向けた取り組みが進む。

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JR西日本は4月12日、水素で発電した電気で駆動し、二酸化炭素(CO2)を排出しない燃料電池列車を2030年代に導入する計画を明らかにした。兵庫県内で自治体などと連携し、列車などに水素を供給できる「総合水素ステーション」の建設も進める。JR西は50年にグループ全体のCO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げており、その達成に向けた取り組みとして両計画を推進する。

燃料電池列車は、車両に搭載されたタンクに水素を充填し、その水素を燃料電池に供給して空気中の酸素と化学反応を起こすことで発電し駆動する仕組み。

JR西は現在、軽油を燃料とするディーゼルエンジンを搭載した列車を約450両保有しており、「これらを順次、燃料電池列車に置き換える」方針という。ディーゼル車両の多くは現在、地方の非電化区間で使用されている。

燃料電池列車をめぐっては、JR東日本が30年の実用化を目指し、燃料電池と蓄電池を電源とするハイブリッドシステム型の車両の試験走行を昨年から実施している。JR東は開発にあたり、トヨタ自動車や日立製作所と協業しており、JR西も「必要に応じてほかの企業と協業して進める」(担当者)としている。

JR西はまた、JR貨物の姫路貨物駅(兵庫県姫路市)内に総合水素ステーションを設置する計画も明らかにした。海外から輸入された液化水素を使い、燃料電池列車のほか、燃料電池を搭載した他社のバスやトラックなどにも水素を供給する態勢を整える。

同ステーションは同県の湾岸地域における広域的な脱炭素エネルギー施設を整備する計画の一環で、30年代までの設置を目指す。計画は同県や関連自治体、企業などでつくる協議会によって進められている。

JR西日本は50年にグループ全体で排出するCO2を実質ゼロにする目標を掲げており、燃料電池列車の導入などで実現を目指す構えだ。

筆者:黒川 信雄(産経新聞)

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