JERA・奥田新社長「日本とアジアの洋上風力に注力」 2025年再エネ500万キロワットの目標必達に向け施策総動員

JERAの新社長、奥田久栄氏が再生可能エネルギー事業の目標達成の決意を示した。

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東京電力ホールディングスと中部電力が折半出資する日本最大の発電会社JERA(ジェラ)の奥田久栄(おくだひさひで)社長(58)が4月下旬に産経新聞のインタビューに応じ、再生可能エネルギー事業で「特に日本とアジアで洋上風力に力を入れていく」と述べた。同社は全世界で2025年までに500万キロワットの導入目標を掲げるが、足元で達成のめどが立っているのは約280万キロワットに留まる。3月に約2200億円での買収を発表したベルギーの洋上風力大手「パークウインド社」の技術やノウハウを最大限活用し、上積みを目指す。

奥田氏は数値目標について「かなり高めだが、そのぐらいの開発能力がないと世界トップの競合他社と肩を並べられない」と強調。25年までの必達を目指し、あらゆる施策を講じる考えを示した。

主力の火力発電事業をめぐっては、4月15、16日に札幌市で行われた先進7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合で欧米諸国から早期廃止に向けた厳しい意見が飛び交っている。奥田氏は今後も火力発電の一定程度の活用は必要との認識を示しつつ「(燃料を)石炭からアンモニアに、液化天然ガス(LNG)から水素に、それぞれ段階的に切り替え『火力のゼロエミッション化』を達成する」と話した。

JERA
JERA碧南火力発電所を視察する自民党の萩生田光一政調会長(手前)。燃焼時に二酸化炭素を排出しないアンモニアを燃料に混ぜる石炭火力発電技術の実用化を目指す取り組みの現場を視察した =2022年10月14日、愛知県碧南市(沢田大典撮影)

ウクライナ危機を契機にエネルギー安全保障の観点から日米欧の主要国はロシアへのエネルギー資源の依存度を下げる方向にかじを切っている。奥田氏も「リスクを分散させる思想をより強くしていく」と明言。同社が年間200万トンのLNGを調達する石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」などロシア産資源への依存度を下げつつ、世界全体で最適かつ安定的な調達を可能とする取り組みを進める考えも披露した。

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