電動トゥクトゥクを観光の「足」に 学生ベンチャーが車両増強 記者も体験
学生ベンチャーが全国の観光地で電動トゥクトゥクのシェアリングビジネスを展開。
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全国の観光地などで電動トゥクトゥク(3輪自動車)シェアリング(共有)を展開する学生ベンチャー、eMoBi(エモビ、東京都中央区)が事業の拡大に乗り出す。保有車両を来年末までに3.5倍の70台に増やし、交通手段の確保に悩む地方の観光ニーズに対応する。
エモビは令和2年12月に設立。東大農学部に在籍する現役学生の石川達基社長と日高将景取締役、そして慶大商学部在籍の後藤詩門取締役の3人が共同で立ち上げた。
トゥクトゥクとは、主に東南アジアから南アジアにかけて普及している3輪自動車を使ったタクシーのこと。ガソリンを燃料とするため、エンジン音が大きく、燃料臭もある。電動トゥクトゥクの場合、走行音が静かで臭いもなく、「観光客にとっても安心して乗れる」(後藤取締役)という。
国内でも、地方では空港や鉄道の駅、バスターミナルからその先の観光地までの「2次交通」に課題がある。都市部に比べて観光地までの交通手段が乏しいためだ。そこに電動トゥクトゥクを整備できれば、貴重な「足」となりうる。
新型コロナウイルスの流行が続くが、電動トゥクトゥクは車両側面にドアや窓がないことから、いわゆる3密(密集、密閉、密接)対策にも有効なため、全国の観光団体などからの引き合いが増えているという。
原付と同じ感覚で運転できる
エモビの電動トゥクトゥクは中国の2輪車メーカーに特注したものだが、搭載するリチウムイオン電池は発火による火災を招くリスクが少ない日本製を採用している。全長約2.3メートル、幅約1.2メートル、高さ1.6メートル、車重は320キロで、背の高いワゴン車に積める。
実際に乗車してみた。停止している車両の左側から運転席に乗り、シートベルトを締める。ハンドルは右側がアクセル、ハンドルの前のレバーは右が前輪ブレーキ、左が後輪ブレーキ。両手でブレーキをかけた状態で、キーを差し込みひねるとエンジンがかかる。右ハンドルに「前進・後進」のスイッチと前照灯や警笛(ホーン)のスイッチ、左ハンドルには方向指示器(ウインカー)とハザードランプのスイッチがある。
原動機付自転車と同じような感覚で運転できる。両手のハンドル操作だけで運転でき、足を使わないため、足の不自由な人でも簡単に動かせそうだ。
9月23日には佐賀・武雄温泉駅でもサービス開始
家庭用コンセントを使って8~9時間の充電で、80~90キロ走れる。最高速度は時速45キロで、運転手を含めて3人まで乗れる。
道路交通法上は「側車付2輪車」といういわゆるサイドカーと同じ扱いとなり、運転には普通自動車運転免許が必要。また道路運送法上の「側車付軽二輪車」の扱いで、車検が不要となる。
エモビはこの電動トゥクトゥクを約20台保有しているが、来年末までに3.5倍の70台に増やす。投資額は非公表だが、数千万円規模となる見込み。
昨年夏、千葉県南房総市と長崎県壱岐市で電動トゥクトゥクのレンタルを期間限定で実施したのを皮切りに、和歌山県串本町や能古島(福岡市西区)などでも展開。9月23日の西九州新幹線開業にあわせて、同日に武雄温泉駅(佐賀県武雄市)でもサービスを始める。
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