ランドセル商戦過熱 ジェンダーレス、軽量化、環境配慮がキーワード

ランドセル商戦が過熱。ジェンダーレス、軽量化、リサイクル素材使用など選択肢は多様化している。

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令和6年春に小学校に入学する子供を対象にしたランドセル商戦が過熱している。「男の子は黒、女の子は赤」が定番だった時代は過去のもの。色選びでは「ジェンダーレス化」が加速する。また、軽量化やリサイクル素材を使ったものなど選択肢は多様化し、「お気に入りが売り切れないうちに」と購入時期が年々早くなっているという。

「色がたくさんあって目移りしますね。本人は紫か水色がいいそうですが…」

大阪府四條畷市のイオンモール四條畷。特設コーナーにずらり並んだ色とりどりのランドセルを前に、来年春の小学校入学を控える長女(5)を連れた女性(39)が語った。

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色とりどりのランドセルが並ぶ売り場。ジェンダーレス化が進んでいる=2023年4月7日、大阪府四條畷市のイオンモール四條畷(牛島要平撮影)

イオンは2月28日から、各店舗で来春の新入学生向けランドセル販売を本格化させている。イオンリテール近畿カンパニー(大阪市)でランドセルを担当する一井昭宏さんは「かつては(入学前年の)秋から年明けが購入のピークだった」というが、ここ数年は春ごろからランドセル売り場はにぎわう。

イオンは24色から選べるランドセルを販売(3万800円)。平成13年の発売以降、流行に合わせて色を入れ替えている。「最近は濃い色よりも落ち着いた大人っぽい色が好まれる」といい、今年はアイボリー、ラベンダーなどの4色を加えた。大容量ながら約980グラムと軽量なのも魅力だ。

大阪・梅田などに直営店を持つ土屋鞄製造所(東京)も、デニムのようなブルー系の「プリズムインディゴ」などの2色を加えた計10色のシリーズ「RECO」(8万3千~8万4千円)を展開。シック(おしゃれ)な「大人でも欲しくなる色」を意識している。

一方、重いタブレット端末を授業で使うことも増え、容量や軽さといった実用性もポイントだ。

高島屋は米沢牛の革をランドセルの「かぶせ」と「肩ベルト」部分に使用して耐久性を高めつつ、「背あて」などには軽量性のある人工皮革を使ったオリジナルモデル(8万8千円)を初めて導入した。

このほか、平和堂は暗い道でどの方向からでも車のライトを反射するシリーズ(6万9300円など)を拡充。通学の安全を心配する保護者の思いに応える。

アートフィアー(兵庫県豊岡市)は、北海道で廃棄された漁網を再生した生地などのリサイクル素材でつくった「豊岡鞄スクールリュックUMI」(4万9500円)を大丸梅田店(大阪市北区)などで販売している。同店の広報担当者は「子供の未来のために、環境配慮という新しい要素もランドセル選びのポイントになっている」と話す。

商戦は夏休み時期に後半のピークを迎える。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5月8日で5類に移行したこともあり、6年間使う運命のランドセルを選ぶ「ラン活(かつ)」にいそしむ親子連れで売り場はにぎわいそうだ。

筆者:牛島要平(産経新聞)

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